第3話
透明性という名の関係
翌日、主要なユーザー層に向けた初めての「開発ロードマップ」を公開することにした。
今月は何に注力するのか。来月の予定は。本業の繁忙期が近いから、その間は小規模な改善に留める。そうした情報を、可視化できる形で共有するのだ。
ドキュメントを作成しながら、違和感を覚えた。こんなに詳しく、今後できないことまで伝えて大丈夫だろうか。ユーザーが離れるのではないか。
しかし、公開してみると反応は想像と異なっていた。有料ユーザーからのメッセージは肯定的で、むしろ安心したという声が多かった。その中の一人は、「いつ実装されるか分からないままより、計画が見えると判断しやすい」とコメントしてくれた。別の人は、「今月のリソースが限られているなら、優先順位の付け方に意見させてほしい」と、逆提案をしてくれた。
対等な関係というのは、こういうことなのか。完璧さを演じることではなく、実際の制約を引き受けたうえで、一緒に何かを作っていく。
だが、新しい課題も浮かんできた。透明性を保つことは、期待値を適切に管理することだけではない。時には、自分自身の迷いや選択ミスさえも、どこまで共有すべきなのか。その境界線が、まだはっきり見えていなかった。
続きはまもなく
目次