第5話
第5話 通知の先にあるもの
スマホの画面を明るく照らす通知。銀行の入出金アラート、メールの受信、アプリの更新通知。その中に、ひとつの決済完了メールが混ざっていた。
件名は「ご利用ありがとうございます」。差出人は聞いたことのないサービス名だった。決済額は980円。
心当たりがない。だが、メールアドレスは自分のものだ。
本能的に調べようとしたが、指が止まった。今夜、何度通知を確認しても、新しい課金の痕跡が見つかるのではないか。その恐怖が、わずかだが自分の中に生じていた。
メモ帳のページをめくった。三日で見つけた未確認課金は合計で6件。月額で7,800円。先ほどの980円を含めると、8,780円。
3万円の謎は、単なる数字の話ではなくなっていた。
ノート片隅に、前話で気になった言葉を思い出し書き留めた。「登録は簡単、解除は複雑」。
では、解除以前の問題は何か。登録した覚えがないサービスに、なぜ課金されるのか。
スマホを手に取り、メール本文を読み返す。決済内容、利用期間、サービス詳細へのリンク。すべてが書かれているはずなのに、どれを見ても「なぜ自分がこれを使っているのか」という疑問には答えてくれない。
通知音がまた鳴った。
今度は何か。その問いを抱いたまま、画面を確認する。明朝、銀行が休業に入ることを知らせる定期メールだった。
皮肉なタイミングだと思った。明日の朝一で、銀行に電話を入れなくては。
しかし、疑問はそれでは終わらないだろう。むしろ、ここからが本当の始まりかもしれない。
続きはまもなく
目次