非課税枠の選択肢

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第3話

選択肢の重さ

翌日の昼休み、私は再び田中を探していた。前夜、駅前で立ち止まったまま動けなくなった自分の姿を思い出す。キャリア転換、給与、貯蓄、人生設計──それらが一本の糸でつながっていることに気づいたものの、では具体的に何をすればいいのか、その答えは見つからなかったのだ。

「実は、昨日のあなたの話をもう一度聞きたくて」

田中は珈琲を飲みながら、穏やかに頷いた。

「新NISAを始める前に、自分の優先順位が浮かぶという話でしたが、私の場合、その優先順位がぐらぐらしているんです。転職するべきか、今の会社に残るべきか。給与が下がるかもしれないという不安もあります。そんな状態で、お金の使い方なんて決められるんでしょうか」

こう言い終わると、自分がどれだけ追い詰められているのかが言葉にして初めて明らかになった。

「それが、決める必要はないんですよ」

田中は不思議なことを言った。

「新NISAの枠は毎年あります。今年どうするかを決めたら、来年また決める。その繰り返しです。人生設計も同じじゃないでしょうか。転職するかどうかを今すぐ決める必要はなく、今の時点で自分に何が必要かを問い、それに応じて選択肢を試してみる。新NISAもそうですが、一度始めたら変えられない制度ではありません。柔軟に軌道修正できるんです」

私はその言葉に、少し救われた気がした。完璧な人生設計を求めていた自分が、ようやく息をつける余地が生まれたような感覚だ。

「でも、その選択肢の一つ一つが、重いんです」

そう呟くと、田中は微笑んだ。

「それは当然ですよ。選択肢が重いから、人生がある。その重さと向き合うことが、新NISAと向き合うことなんだと思います。つまり、あなたはすでに始まっているんです。」

続きはまもなく

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