第2話
同期の選択、自分の問い
月曜日の昼休み、同期の田中は思いのほか話しやすかった。
「新NISAを始めた理由ですか。正直、特に深く考えていなかったんですよ」
予想外の答えに、少し肩透かしを食らった気がした。
「でも、そこからですよ。始めてみたら、自分がどういう人生を望んでいるのかが見えてくるんです。月々いくら投資に回すかを決めるとき、残りの生活費で何ができるのかを考えるじゃないですか。その時点で初めて、自分の優先順位が浮かぶんです」
田中は投資信託を中心に、毎月の給与の一部を淡々と積み立てているという。特に銘柄選びに時間をかけたわけではなく、標準的なポートフォリオを選んだそうだ。
「あなたは今、キャリアの転換を考えてるんですよね。その過程で、お金の使い方も自動的に整理されるんじゃないかな。新NISAはあくまでツールに過ぎません。大事なのは、その前にある問い──自分は何にお金を使いたいのか、という問いです」
その夜、会社帰りの駅前で立ち止まった。キャリア転換とお金、そして人生設計。これらは本来、別々の問題ではなく、一つの連鎖なのだ。
転職するならば、給与がどう変わるのか。給与が変わるなら、月々どの程度を貯蓄に回せるのか。そしてその貯蓄は何のためなのか。
新NISAは、この一連の問いに答えたときに初めて、その真価が見えるのかもしれない。制度の説明を学ぶ前に、自分の人生を問い直す必要があった。
次のアクションは、銀行でも証券会社でもなく、自分の棚卸しから始まるのだろう。
続きはまもなく
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