第6話
判断の重さ
モニターの光が目に染みる。夜中の十一時を過ぎていた。
デスクの上には、修正が必要な仕様書と、現在の進捗表が並んでいる。数字を眺めていても、答えは出ない。
完璧さを求めるのも逃げ。判断を委ねるのも逃げ。その二者択一に僕は頭を抱えていた。しかし、その時だった。田中さんの言葉が、別の形で浮かび上がってきたのだ。
「選択と責任を引き受けたことへの認識」
それは、どちらかを選ぶことではなく、選んだことの先にあるものを見つめることではないか。
もし自分一人で完璧に仕上げるなら、その完璧さの背景にある疲弊まで、自分が背負う。もし田中さんに相談するなら、その判断の結果まで、自分が受け入れる。どちらを選んでも、責任は消えない。むしろ、選んだ後の景色が変わるだけだ。
僕は立ち上がり、隣の席を見た。田中さんはもう退勤している。メールでいいだろう。現状を正確に伝え、判断を仰ぐ。その判断に従うなら、その結果も受け入れる。そういう覚悟を、きちんと持ったままで。
メールを書き始めた時、何かが変わった。それは劇的な変化ではない。ただ、選択する時の気持ちが、昨日とは違う。逃げと言われるのを恐れるのではなく、選んだことの責任を引き受ける気持ちで、キーボードに向かっていた。
メールを送信した直後、別の課題が頭をかすめた。では、その判断が間違っていたとしたら。その時、僕は何を受け入れるのか。
続きはまもなく
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