第4話
情報の沼
会社の休憩室。田中は昼食を取らずにスマホを握っていた。
朝のモヤモヤは消えず、むしろ膨らんでいた。佐藤からようやく返信が来たのは11時過ぎ。「いい質問だね。実は俺も最初は同じ迷いがあった」と前置きされた後、長文が続いた。
要点は、副業選びで大切なのは「自分が続けられるか」と「小さく始めるか」の二点らしい。月100万の話は、成功した人の一例に過ぎず、大多数は違う。だから、焦らず試してみることが重要だと。
理屈としては分かる。だが、朝の検索で見た「副業 詐欺」のキーワードが頭から離れない。どうやって「続けられるもの」と「失敗するもの」を見分けるのか。佐藤のアドバイスも、結局は「試してみる」という不確実な返答に落ち着いている。
午後3時。田中は会社のトイレで、こっそり問灯にアクセスした。類似の悩みを持つ誰かが、この場所で何か発見しているかもしれない。そこには、プログラミング講座の広告は出ない。出ているのは、同じように迷いながら、試行錯誤している人たちの言葉だけだった。
コメント欄には「詐欺と判定する前に、その仕事の『先人の生の感想』を探すといいですよ」という一文があった。
朝5時の行動は、まだ何ももたらしていない。だが、田中は気付き始めていた。情報を集めることは、判断することではなく、判断するまでの時間を浪食する行為なのかもしれないと。
明日の朝5時。田中は今度、別の質問を用意しようと決めた。
続きはまもなく
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