隙間時間の魔法

3/3

第3話

別の場所で試す

資格勉強で見つけた『小さく始める』という仕組みを、別のことに応用してみたいという思いは、意外とすぐに形になった。

対象は、長年放置していた読書だった。本は好きなのに、ここ数年ほとんど読めていない。理由は単純で『纏まった時間がないと始められない』と思い込んでいたからだ。資格勉強と同じ罠だった。

試しに、朝の5分を読書に充ててみることにした。ページ数は気にしない。時間がきたらやめる。その程度の約束で。

初日、手に取ったのは積ん読の中から引っ張り出した本。5分で数ページ。進んだというより『開いた』という感覚に近い。だけど、その日の帰宅後、無意識のうちに続きが気になって、また手を取っていた。

1週間続けると、変化が見えた。朝に本を開くことが、その日の思考の質を変えるのだ。登場人物の視点で世界を見る時間。自分の日常では触れない考え方に触れる時間。それが意外と、その後の仕事や人間関係の中で、ほんの少し『別の角度から見る余裕』を生み出している気がした。

興味深いのは、資格勉強と読書では求めるものが全く違うのに、『小さく始める』という仕組みだけは両方で機能しているということだ。

友人に改めて報告すると、今度は「あ、これテンプレート化できるんじゃない」と言った。確かに、この流れを整理すれば、他にもいろいろ試せそうな気がする。

ただし、ここで気をつけたいのは、この仕組みを万能だと思い込まないことだ。朝5分が全てじゃない。むしろ、自分の生活や目標に合わせて、柔軟に『小さく始める』ことの形を変えていく。その柔軟性こそが、続く秘訣な気がしている。

次は何に試してみようか。そう考えるだけで、生活が少し拡がった感覚がある。

続きはまもなく

目次

コメント