ルーチンの向こう側

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第3話

判断の重さ

画面の通知は消えない。アシストからの資料は、もう五分待たせている。

承認ボタンを押す。それだけで、次のステップに進む。その方が、上司の指示にも応える。浮いた時間は新しいプロジェクトに。論理的には完璧だ。

主人公は、自動生成資料に目を通した。形式は完璧。データの配置も、見出しも、すべてが適切な場所にある。昨日、自分で作り直したものとは違う構成だった。

違う、というだけでは判断できない。その資料が、本当に間違っているのか。それとも、単に自分の作ったものと異なるだけなのか。

昨日の経験が、判断を難しくしていた。一から作ることで見えたクライアントの潜在ニーズ。あの視点を、アシストの資料に見つけることはできない。見つけられないのか、見つけようとしていないのか。

主人公は、アシストに新しい指示を入力することにした。ただし、いつもの確認依頼ではなく。

「この資料から、クライアントの課題として見落とされている可能性は何か」

システムの応答は早かった。いくつかの可能性が列挙される。その中に、昨日気づいたポイントは含まれていなかった。

そこで気づく。アシストは、与えられたデータの最適な配置を計算しているだけだ。その背景にある、人間の問題意識まで読むことはできない。

なら、自分で判断を重ねるしかない。でも、その判断が正しいかどうかを、誰が保証するのか。

画面の向こう側で、別のチームが同じようにアシストの資料を承認しているはずだ。効率の名の下に、見落とされるものが増えていく。それとも、自分が大げさに考えすぎているだけか。

主人公は、上司に話しかけることにした。ただし、反論ではなく、確認として。

「この新しいプロジェクト、何を狙った企画でしょうか」

続きはまもなく

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