ルーチンの向こう側

2/2

第2話

自動化の隙間で

その夜、主人公は結局、アシストが生成した資料を自分で作り直すことにした。

いつもなら5分で確認と承認を終わらせるところを、一から構成を考え直す。データの解釈も、見出しの付け方も。手探りで進めるから、当然、アシストより時間がかかる。でも、その過程で何かが変わった。

資料の中身を本当に理解した気がする。数字の背景にある、クライアントの課題まで見えた気がした。そして、次の提案に何を加えるべきかも、自分で判断できるようになっていた。

翌朝、その資料をチームに共有した。反応は予想外だった。企画部の別の担当者が話しかけてきた。

「この視点、俺たちが見落としてたことじゃん」

シンプルな言葉だったけど、何かが響いた。

それと同時に、上司からは別の報告が。アシストの効率化で浮いた時間を、新しいプロジェクトに充てるよう指示があったのだ。確かに理屈は通っている。でも、何か腑に落ちない。

本当に効率化できているのか。それとも、何かを見落としたまま、ただ速く進んでいるだけなのか。

アシストの次の自動生成資料が、またデスクに届こうとしていた。今度は、確認して承認するだけでいいはずだ。でも、主人公の手は、キーボードの前で止まっている。

続きはまもなく

目次

コメント