眠りの処方箋

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第7話

第7話 夜間譫妄の告白

叫び声は数秒で収まった。坂下と私は顔を見合わせた。

「患者さんか」と坂下が立ち上がりかけた時、ナースステーションから看護師が走ってきた。その表情は、いつもの対応とは違う。何か言い残すことがあるような、迷いが混ざっていた。

「実は…」看護師が息を整えながら言った。「その方、昨夜の記録について、主任に話があるとおっしゃっています。」

Bさんだ。私たちはすぐに病室へ向かった。

ベッドの上で、Bさんは薄く笑っていた。でも目は疲れていた。いや、違う。目が「何かを処理しきれていない」状態に見えた。

「先生。この一週間、毎晩、同じ夢を見ました。」Bさんの声は静かだった。「日記には『繰り返す』と書きましたが、実は…その繰り返しの中で、毎回、微かに何かが変わっているんです。」

私は前かがみになった。「変わっている?」

「昨晩の夢では、初めて、その繰り返しから逃げ出せました。」Bさんが指差した先には、日記の最後のページがあった。「でも、逃げ出した瞬間に目が覚めた。そして…」

Bさんは天井を見つめた。

「朝、起きた時、初めて気づいたんです。その繰り返す夢って、実は私の人生で起きた出来事だったんだ、ってね。毎晩、脳が同じ出来事をなぞり直しているんだ。でも、脳波では『正常』なんでしょう?」

坂下が私の腕に触れた。その圧は、何か大切なものが音を立てて崩れ始めたことを告げていた。

検査装置は夜間譫妄も、その前の夜の異常な繰り返しも、何も映していなかった。映していたのは、只の脳波の周期だけだ。

その時、廊下の別の病室から、また叫び声がした。

続きはまもなく

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