第7話
第7話 習慣の正体
当に変わったのか。それとも、思い込みに過ぎないのか。
その答えは、思いがけず訪れた。
金曜日の夜、部下の送別会があった。いつもなら、この手の飲み会は気が進まない。だが今夜は、何となく参加してみようという気になった。居酒屋に入り、三時間ほど過ごした後、ふと気づいた。アルコールをほぼ摂取していない。ビールを一杯、その後はずっとソフトドリンク。強要されもしなかったし、禁酒を宣言したわけでもない。自然に、そうしていた。
帰路、駅への道を歩きながら考えた。
三週間前の自分なら、こうはならなかっただろう。「健康のため」と理屈をこねて、かえって息苦しくなっていたはずだ。だが今は違う。毎朝の水、ストレッチ、早寝。そうした小さな積み重ねが、知らぬ間に判断そのものを変えていたのだ。
家に帰ると、寝る前のルーティンが自動的に始まった。スマホを遠ざける。窓を開けて深呼吸。そこまでやってから、ようやく寝床に入る。その最中、ある疑問が頭をもたげた。
これは「習慣」なのか。それとも、もはや「本来の自分」に戻っただけなのか。
医者は「生活全体の見直し」と言った。けれど自分がしたのは、何かを足したのではなく、むしろ削ぎ落とすことではなかったか。疲れを呼ぶもの。心を曇らせるもの。そうしたものを、一つ二つと手放しただけ。
月曜日の朝。いつもより早く目が覚めた。身体の重さはない。頭も冴えている。この状態を「良好」と感じる基準が、自分の中で静かに定着していた。
オフィスに向かう途中、新しい目標が浮かんだ。数値を変えることではなく、この手応えをどれだけ長く保つか。それを自分自身で記録していく。そんなことを考えながら、いつもの駅を降りた。
四週間目に突入しようとしていた。
続きはまもなく
目次