余白を選ぶ

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第2話 手放すことの重さ

クローゼットの扉を開けた時、主人公は自分がどれだけの選択肢を持っていないことに気づいた。

色とりどりの服が、季節ごと、流行ごと、その時々の自分に合わせて買い足されていた。黒いジャケット。紺のパンツ。グレーのニット。どれも「いつか着るかもしれない」という思いで手に取られたものばかり。実際に手にしているのは、いつも同じ3着だった。

ハンガーから1枚引っ張り出してみる。去年買ったワンピース。タグが半分しか取られていない。着たことがない。次々と引っ張り出す。これも。これも。

床に積み重なる衣服を見ながら、主人公は不思議な感覚に襲われた。減らしているはずなのに、むしろ増えているように見える。選ぶことよりも、手放すことの方が、こんなに重いのか。

1枚手に取ると、そこには物語がくっついていた。このワンピースを買った時、自分は何を考えていたのか。どんな気分だったのか。もし手放したら、その時間そのものまで失ってしまうような気がした。

スマートフォンを手に取り、もう一度あのSNS投稿を見た。白い壁、木製のテーブル、数冊の本。その背景には何もない。だから見える。だから静寂が写っている。

でも、あの投稿の向こう側には何があるのか。何を手放してきたのか。その人は本当に満足しているのか。それとも、ただ見栄えの良い風景を切り取っているだけなのか。

主人公は床の衣服を見つめた。手放すことと、失うことは違う。そこに気づくまで、どうしても時間がかかるのだろう。

もう一度、クローゼットに目を向けた。今度は1枚ではなく、この全体を整理する。それには、決断だけではなく、時間と覚悟が必要だと思い始めていた。

続きはまもなく

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