第6話
第6話 飽きの正体
飽きが訪れるのは、予想より遅かった。
一週間目の終わり、木曜日の夜。いつものようにスーパーの棚の前に立ったとき、ふと気づいた。選ぶ野菜が決まってきているということに。最初は「工夫がある」と感じていた制約も、繰り返されるうちに「パターン」へと変わっていた。
それは悪いことばかりではなかった。手が覚えている。冷蔵庫の奥に何があるかも、大体わかるようになった。調理時間も短くなった。効率という言葉が、頭のどこかで肯定的に響き始めていた。
ところが二週間目の火曜日、いつもより早く帰宅できた。珍しく時間的な余裕があるなか、冷蔵庫を開けた。同じ野菜。同じタンパク質。組み合わせは何通りかあれど、その選択肢の狭さが、初めてはっきり見えた。
外食への誘いは、この日も静かに頭をよぎった。ただし前とは違う形で。新しい味への欲望というより、単調さからの解放への希望に近かった。
スマートフォンを手にしかけたとき、ふと立ち止まった。毎日を変えるために始めたはずなのに、別の単調さを作っていないか。その問いの答えは、自分の中にはまだ、なかった。
続きはまもなく
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