第6話
第6話 待つことの価値
面接は3日後だった。
通知を見た瞬間、俺は公園のベンチから立ち上がっていた。胸の高鳴りと不安が混在する。買ったばかりの対策本は役に立たなかった。あの図書館での迷いは何だったのか。結局、俺は何もしていない。
帰宅後、朝5分のノートを開いた。今日の欄に、既に書いてある文字を見つめる。「面接対策の本を買う」と、俺の筆跡。
だが隣のページには、昨日の記述があった。「朝5分では拾えない別の何かがある」と、走り書きしてある。それは朝の5分ではなく、公園のベンチで感じたことを後から書き加えたものだ。
3日間、俺は何をすべきか考えた。対策本は読んだ。面接に関するサイトも見た。だが、一番の変化は別のところにあった。
朝、起きるのが少し楽になった。前のように何度もアラームを繰り返さなくなった。ノートに何かを書く。その行為自体が、俺を動かす理由になっていた。
そして昨夜、桜子に連絡を取った。面接のことを伝えると、彼女は率直に言った。「何もしなくていいよ。ただ、その時の君を見たいだけ。準備万端な君じゃなくて、今のそのままの君」。
面接前夜、俺は朝のルーティンを崩さなかった。ノートを開き、5分間で思ったことを書く。明日のことではなく、今日までの自分について。
書き終わった時、新しい気づきがあった。朝5分の魔法は、完璧な準備をさせるのではない。迷いながらも、毎日を積み重ねる自分を認識させるのだ。
朝日が昇る。面接は午後だ。俺は鏡の前に立った。昨日の自分より、少しだけ違う顔がそこにあった。
続きはまもなく
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