はじめてのフットサル

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第5話

予測と対応のあいだで

喜びだった。

失敗するたびに、その理由が解像度を増していく。ボールを失ったのは、パスのタイミングが遅かったから。シュートが枠を外れたのは、助走の角度を意識していなかったから。そうした小さな気づきの積み重ねが、次のプレーを少しだけ変えていく。

ゲームは続いていた。得点はまだ自分たちの方が劣っていたが、その数字以上に変わっているものがあるような気がした。

三度目の攻撃。ドリブルで前に進もうとした瞬間、左側から相手が寄ってくるのが見えた。このコートは狭い。すぐに囲まれてしまう。判断は一瞬だった。右にいる同僚にボールを流す。その同僚がシュートを放つ。

ボールはゴールの枠をかすめて外に出た。得点には至らなかったが、自分たちのコンビネーションはかつてないほどスムーズだった。

「そっ、そこ。連携取れてきたぞ」田中が声を張る。

ベンチに下がる間もなく、相手の攻撃がこちらのエリアに入ってくる。防御に転じた時、初めて気付いたことがあった。相手の動きが、もはや完全には予測不可能ではなくなっていたのだ。可能性の幅が、わずかに絞られている。完全ではないにせよ、この狭いコートの中で、どの選手がどこに動きやすいか。その傾向が、ようやく見えはじめたのだ。

今、自分に必要なのは、技術ではなく、この場所の言語を学ぶことなのだと思った。フットサルというスポーツが、どのようなルールと流れで動いているのか。その身体への翻訳。

ゲームの時間がまだ残っている。その事実が、妙に嬉しかった。

続きはまもなく

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