第5話
小さな変化の積み重ね
翌朝、目覚まし時計が鳴る前に目が開いた。
珍しいことだった。いつもは何度もスヌーズボタンを押し、ぼんやりとした意識のまま布団から出ていた。今朝は違う。体が自然と起き上がろうとしていた。
昨晩の小さな変化の数々が、本当に効いているのだろうか。まだ一晩のことだ。判断は早い。だが、この感覚は記憶しておく価値がありそうだった。
カーテンを開けると、朝日が部屋に流れ込んだ。スマートフォンで調べた「朝日の浴び方」を思い出し、窓際に立った。光が肌に当たる感覚を意識した。
会社での一日は、相変わらず忙しかった。だが何かが違っていた。午後3時を過ぎても、いつもなら襲ってくる強い眠気がなかった。疲れはあるが、それは別の種類のものだ。筋肉が疲れているのであって、意識が濁っているわけではない。
お昼に同僚と会った際、「最近調子いいね」と言われた。自分では気づいていなかった。だが言われてみると、そうかもしれない。
帰宅後、昨晩のシーツの変更がどう影響しているのか、改めて考えてみた。清潔さ、肌触り、温度感。こんなことが本当に関係するのか。一般的な常識と照らし合わせると、少し馬鹿馬鹿しく思える。
だが隣人の規則正しい生活音は、今夜も変わらずに流れてきた。その音を聞きながら、ふと思った。隣人は最初からこれらのことを知っていたのか。それとも、試行錯誤を重ねた結果にたどり着いたのか。
どちらにせよ、自分も今、その試行錯誤の途上にいる。まだ一つ試したに過ぎない。スマートフォンの画面には、まだいくつもの「コントロール可能」な要素が残っていた。
明日は何を試そうか。そう考えながら、今夜も眠りに落ちていった。
続きはまもなく
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