第6話
第6話 階層化された声
新しいノイズは、これまでのものとは質が異なっていた。
周波数チャートを見つめたとき、わたしは息を飲んだ。それは信号ではなく、通信だ。しかも双方向性を示す痕跡がある。送信元が、受け手の反応を待っているのではなく、誰かからの返答に対して応答している。
過去から送られてきたはずの信号が、今、リアルタイムで何かと会話している。
論理的には起こり得ないことだ。過去の信号は、あらかじめ記録されたものであるはずだ。だが画面に映る波形のタイムスタンプは、今この瞬間を示していた。更新される周波数パターン。変動する位相角度。それは生きている通信の特性そのものだ。
わたしの指が、キーボードの上で止まった。記録を取るべきか。それとも傍受を続けるべきか。
どちらにせよ、わたしはこれ以上、一人でいられない。この情報を誰かに伝えなければならない。だが、ステーションの誰に?上司?それとも地上の司令部?
そのとき、コンソールが勝手に応答モードに切り替わった。
わたしはキーボードに触れていない。それなのに、送信準備を示す緑のインジケーターが点灯した。システムは、信号に対して返信するよう促している。あるいは、その準備をすでに整えている。
スクリーンに一行のテキストが浮かんだ。機械によって自動生成されたものではなく、人間による入力の痕跡が残っていた。古い入力方式だ。タイプライター時代の形式。
そこには、たった一つの言葉があった。
「返事をください」
続きはまもなく
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