軌道上の手紙

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第5話

周波数の重層

地球が回転している。その下のどこか、地上で誰かが、あるいは過去から誰かが、ずっと信号を送り続けていたのだ。

わたしは深呼吸した。パニックは避けなければならない。今、冷静でいることが、すべてだ。

複数周波数での送信——それは専門知識を要する。衛星通信に精通した誰かが、意図的に信号を分散させている。もし一つの周波数だけで傍受されたら、ノイズと判定されるかもしれない。だが重ねると、パターンが浮かび上がる。わたしがたまたまこの角度からこの時間帯にこの周波数を調査していなければ、それらは永遠に別々のままだったはずだ。

コンソールの時刻は04:27。地球の夜間帯は、地上の監視が最も薄い時間帯でもある。ステーション内の他の作業員たちは、ほぼ全員が休務に入っている。通信ログはルーチン送信されるが、次の定期レポートは6時間後だ。

わたしは画面を横にスライドさせ、信号の波形を三次元で展開した。周波数の層を色分けして重ねると、その中心に一つの明確な構造が浮かんだ。それは単なるノイズの集合ではなく、何かの「枠組み」のようだった。あたかも、目に見えない箱の中に情報が詰め込まれているように。

ハンドル周辺のセンサーが、微かに反応した。誰かが通路を移動している。息を止めて耳を澄ませた。作業員の足音は去っていく。わたしの心拍が徐々に落ち着く。

そのとき、新しいノイズが割り込んできた。今度は違う周波数帯からだ。さらに別の層。

わたしの指は鍵盤の上で停止した。これは、単なる傍受ではない。誰かが、わたしに気づかせようとしている。わたしが気づくまで、信号を送り続けるつもりなのだ。

窓の外では、相変わらず地球が静かに回転していた。

続きはまもなく

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