夜明けの処方箋

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第2話

朝日の約束

佐藤は医師の言葉を思い返しながら、帰宅後の時間の使い方を見つめ直していた。

毎晩、帰宅は午後11時。夕食を摂ってからすぐにベッドへ。スマートフォンは寝る直前まで手放さない。窓のカーテンは常に閉じたままだ。これが三年続いてきた。医師の問いかけは、その習慣の一つひとつが、実は自分で夜を作り出していたのではないかという疑問を残していった。

翌朝、佐藤は六時に目覚ましを設定した。いつもより二時間早い。外はまだ暗い。薄紫色の空の中で、彼は窓を開けた。冷たい朝風が頬を撫でる。

街灯がまだ灯っている朝の時間。人通りは少ない。だが、それがかえって新鮮に感じた。医師は言っていた。「朝の光を浴びることが、夜の眠気につながる」と。理屈では知っていても、実践したことはなかった。

一週間。その言葉が心に残った。医師は「最低でも一週間、続けてみてください」と付け加えていた。

職場で佐藤は田中に話しかけた。「あの医師、何か変わってないか」と。田中は笑った。「そこだよ。睡眠改善って、薬じゃなくて、生活を変えることなんだ。俺も最初は疑ってた」

その夜、佐藤は夕食の時刻を一時間早めた。夜10時にスマートフォンを手放した。部屋の灯りも少し落とした。いつもと異なる準備の中で、彼は静かに横になった。

すぐには眠気は来なかった。だが、夜明け前のあの朝風、窓から差し込んだ薄紫の光。その記憶が、今、穏やかに彼の中に在った。

午前3時。いつもなら天井を見つめている時間。だが、今夜は違う音が部屋を支配していた。己の呼吸音。そして、その奥底で、かすかに鳴る眠りへの道。

夜は、まだ答えをくれていない。だが、朝への約束は、ようやく形を持ち始めていた。

続きはまもなく

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