オフィスの相棒

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第6話

言葉にする

翌日、高橋は営業資料の保存方法について、チームで改めて議論する時間を設けた。

「なぜ部長は『言葉にしろ』って言ったんだと思う?」と高橋が切り出すと、鈴木は首をかしげた。「効率のためじゃなくて?」

「それもあるけど…」高橋は考えるように言った。「AIに報告するときだけじゃなく、俺たちの中でも『なぜこの方法にしたのか』を誰もが同じように説明できるようにしておこうってことじゃないかな」

佐藤が加わった。「でも、やってることは一緒だけど、理由は人によって違うかもしれない」

「そっか。だからこそ言葉にする必要があるんだ」高橋は頷いた。

その後、三人は実際に自分たちの判断基準を書き出してみた。ファイル形式をなぜこう決めたのか。どの情報をどこに置くのか。誰が何のために必要とするのか。ひとつひとつ言語化していくと、曖昧だった部分が透き通り始めた。

AIへの次の報告には、改めてその理由も付け加えた。

数日後、AIからの提案は以前とは質が変わっていた。単なる効率化ではなく、チームが大切にしていることを踏まえた上での提案になっていた。同時に、提案に対してチームが異を唱える回数も増えていた。異論があるなら、その根拠も一緒に報告する。その繰り返しが、チーム内の暗黙知を明確にしていった。

高橋は気づき始めていた。AIとの関係が対話になると、その過程で、自分たちの仕事の本質が浮かび上がるのだということに。効率化という名目で始まったこの試験導入は、いつの間にか別のことを問い始めていた。

「わたしたちは、本当は何をしているのか」

それは、マニュアルやデータには書かれていない問いだった。

続きはまもなく

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