第2話
パターンの向こう側
翌日、田中は同僚の鈴木に昨日のことを話した。
「ちょっと気になったんだけど、あのAI、なんか人間らしくない?」
鈴木は笑った。「人間らしい?それはないでしょ。ただのプログラムだよ」
だが鈴木も試しにAIを使ってみることにした。営業資料の作成で、いつも悩むポイント——顧客ごとのトーン調整——について相談してみたのだ。
AIの回答は、想像以上だった。単に「丁寧に」「カジュアルに」といった指示ではなく、鈴木が過去に作成した資料を分析し、「この顧客には数値より事例を重視する傾向があります。前回の失注理由も参考にしました」と具体的に示していたのだ。
「これ、俺のやり方、覚えてるってことか」
鈴木の表情が変わった。不安ではなく、むしろ興味深そうに。
数日後、営業部全体の雰囲気に微妙な変化が生まれていた。AIを使う者、まだ懐疑的な者、様々だったが、共通していることがあった。みんなが同じ質問をしていたのだ。
「このAI、実際には何を『見ている』のか」
ある午後、新人の高橋がAIに頼まれもしない提案をされたことで、議論は新たな段階へ向かう。その提案は、高橋のスキルではなく、むしろ今の立場では気づきにくい業務の穴を指摘していたのだ。
ツールなのか、相棒なのか。そもそもその違いは何なのか。
オフィスに、新しい問いが生まれようとしていた。
続きはまもなく
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