第1話
第一話 スケジュール調整の向こう側
朝8時半、田中はいつもより気が重かった。会社がAIエージェントを導入することになり、営業部は試験運用の対象になったからだ。説明会では『効率化』『生産性向上』というバズワードばかりが飛び交っていた。正直、また新しいツールを覚えるのかという疲労感しかない。
システムが起動して、試しに会議のスケジュール調整を頼んでみた。営業チーム4人の予定を見比べて、全員が参加できる時間を見つけるという、毎回イライラする作業だ。
数秒後、AIが複数の案を提示した。ここまでは想像通りだった。だが、その下には一文が付け加えられていた。『月曜日10時を提案理由:木曜日は田中さんが金曜営業を理由に早上がり傾向があり、火水は新人研修が入りやすいパターンが見られます』
田中は目を疑った。自分の3ヶ月分の行動パターンを学習している。それ自体は不気味でもあったが、同時に考えさせられた。
このAI、実は単なる作業ロボットじゃなくて、『チームを理解しようとしてる』のか。
続きはまもなく
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