続ける理由を探す

1/1

第1話

第一話 空白のページ

パソコンの前で三十分以上、私は何も書かずにいた。スクリーンセーバーが作動するまであと二分。カーソルは点滅し続け、私の迷いを可視化している。

創作を続けることについて、誰もが簡潔な答えを持っているように見える。「好きなことだから」「表現したいから」。しかし、好きなはずのことが重く感じられる時期というのは、必ずやってくる。完成した作品を見直すと粗ばかりが目につき、他の人の作品との比較に陥り、何のために書いているのかわからなくなる。そうした状態が、ここ二週間続いていた。

友人に相談した時のことを思い出す。彼女は「無理に続ける必要はない」と言ってくれた。その言葉は優しく、同時に重かった。続けることと続けられることの間には、想像以上の距離があるのだと感じた。

けれど、その翌日のこと。駅のホームで、見知らぬ誰かが読んでいた本の背表紙に目が止まった。それは、私が子どもの頃に何度も読み返した作品だった。その本のおかげで、当時の私がどれほど勇気づけられたか。今、自分が創作をしている理由の一部は、そこにあるのではないか。そう思った時、何かが少しだけ変わった気がした。

パソコンのスクリーンセーバーが起動した。画面は静寂に満ちている。けれど、この静寂の中に、もう一度書き始める理由があるような気がした。それが確かな理由であるかどうかは、まだわからない。ただ、空白のページに向き合う勇気が、少しだけ戻ってきたのだ。

続きはまもなく

目次

コメント