第1話
第一話 寝つきの悪さが教えてくれたもの
ベッドに入ってから一時間。天井を眺めたまま、時間だけが経過していく。また眠れないのかと、心の奥底で小さく呻く。これはもう習慣化していた。
仕事のストレスのせい、スマートフォンのせい、季節の変わり目のせい。そう言い聞かせて、何も変えようとしなかった。毎晩の寝付きの悪さを、もはや自分の体質だと諦めていたのだ。
だが先週、ふと立ち寄った本屋で見かけた一冊が引っかかった。睡眠についての本ではなく、日常を観察することの大切さについて書かれた本だった。その本の中に、「夜の行動が朝を決める」という短い一文があった。
当たり前のことのはずなのに、なぜかその言葉が響いた。自分の夜をもっと詳しく見つめてみようと思い立った。何時にベッドに入るのか。その前に何をしているのか。部屋の明るさは。心の状態は。
記録をつけ始めて三日目、いくつかのパターンに気付いた。寝る直前までスマートフォンを握っていた夜は、必ず眠りが浅かった。だからといって、全く使わないわけにはいかない現代生活の中で、何か工夫の余地があるのではないか。
そう考えると、睡眠の問題は、もう純粋に身体のものではなく、自分の選択の積み重ねなのだと感じた。朝が辛いのは、昨日の夜の自分が決めたことなのだ。その認識が、何か大切なものをひっくり返した。
今夜、試しに寝る一時間前からスマートフォンを遠ざけてみることにした。その先に何があるのか、まだ分からない。だが少なくとも、自分の夜に向き合う気持ちが生まれたことだけは確かだった。
続きはまもなく
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