軌道上の手紙

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第2話

軌道上の手紙 第2話 パターンの意味

データベースを遡ること五分。佐藤の指が止まった。

同じパターンは、三度現れていた。

初回は四十六時間前の23時47分。二度目は三十時間前の09時22分。そして三度目が、今から十七分前だ。間隔は不規則だが、信号自体は確実に同じ構造をしていた。

佐藤は椅子から立ち上がり、管制室の片隅にある旧型の周波数解析装置に向かった。新しいシステムより処理が遅いが、データの細部まで可視化できる。古い道具だが、今はこれが必要だった。

スクリーンに波形が浮かび上がる。規則的な山と谷。ノイズではなく、信号だ。それも意図を持つ何かからの。

心臓が再び速くなった。

この時間帯、火星探査機は通信可能ゾーンにいない。軌道計算上、あり得ない。探査機の送信機は故障していないはずだ。定期チェックは三日前に完了している。だから、この信号の発信源は——

「佐藤さん、大丈夫ですか。顔色が悪い」

田中だった。いつの間にか背後に立っていた。

佐藤は画面を隠すように身体を寄せた。報告するにはまだ早い。推測だけでは何も証明されない。ただ、この沈黙の中で、彼は確信していた。

何かが、こちらへ向けて信号を送っている。それが何であるか、どこから来たのかは、まだ分からない。

だが、それは確かに『ここ』にある。

「大丈夫です。少し疲れただけ」佐藤は作り笑いで返した。「もう少し確認したいことがあるので」

田中は怪訝な表情を浮かべたが、やがて持ち場に戻った。

佐藤は再びモニターに向き直る。次の信号はいつ来るのか。その間隔に意味があるのか。発信元の位置は特定できるか。

データの海の中で、彼はもう一度、あの音を聴いてみることにした。

続きはまもなく

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