デスク戦記 〜肩よ、声を聞かせよ〜

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第6話

第6話 習慣の重さ

朝の体操は、翌日も、その翌日も続いた。

最初は田中さんとの約束だからという理由だった。だが二週間ほど経つと、それは約束というより、自分の一部になり始めていた。朝、オフィスに着くと自然と彼女の席に向かう足が軽くなっていた。

変化は肩だけではなかった。同じ時間に同じ動きをする相手がいるという事実が、仕事の進め方まで変えていた。昼休みには、田中さんが勧めてくれた別の工夫を試すようになった。デスクの高さを少し調整する。モニターの位置を変える。一時間ごとに立ち上がる。

それらは小さなことばかりだったが、積み重なると、一日の疲れ方が明らかに違ってきた。

三週間目のある朝、同じく毎朝オフィスに早く来ていた別部署の人が、二人の体操を見かけた。

「何してるんですか?」

その問いかけに、田中さんは迷わず答えた。

「肩の痛みを減らすための工夫なんです。一緒にやってみませんか?」

翌朝、その人も参加していた。さらに翌週には、別の誰かが加わった。

気づけば、朝のルーティンは個人の工夫ではなく、小さな集団の営みになっていた。同じリズムで体を動かす人が増えるにつれ、それはもはや単なる体操ではなく、オフィスの朝に刻まれた儀式のようになっていた。

デスクに戻ると、最初に見つけたメモはもう手元にはなかった。だが、その代わりに新しいメモが増えていた。別の工夫、別の視点、別の人の実験記録。

デスクの前に座り、その日の仕事を開始する。肩は相変わらず時々重くなる。だが、それは無視すべき痛みではなく、自分が何かを続けている証のように感じられるようになっていた。

ふと気づく。同じ姿勢で画面に向かい続けることは、今日も変わらない。だが、その単調さの中に、何か別の流れが生まれ始めていた。

続きはまもなく

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