第2話
第2話 メモの正体
メモを握りしめたまま、私は田中さんの席を見つめた。昼休みはもう終わり、彼女は普通に仕事に戻っている。声をかけるべきか、それとも放っておくべきか。迷いながら、机の引き出しを開けた。このメモ、本当に彼女のものなのか確認する術もない。けれど、肩の痛みに耐えながら一日を過ごす毎日を思えば、試す価値はあるかもしれない。
その日の午後、実験は始まった。14時30分。キーボードから手を離し、椅子に背を預けて、私は天井を見上げた。1分。たった60秒。だが、その間に何をするのか。メモには具体的な指示がない。とりあえず、腕を横に広げてみた。肩甲骨が引き寄せられるような感覚。それから首をゆっくり左右に動かす。まるで自分の身体を思い出させるような動き。
1分が経つ。時計を見て、再びパソコンの前に戻った。劇的な変化はない。けれど、何か違う。肩の重さが、少しだけ軽くなったような気がする。気のせいかもしれない。
15時。また30分が経った。メモの指示を思い出し、同じように休止した。今度は首の後ろに手を当てて、軽く引き寄せてみる。ストレッチのような動き。職場ではあからさまにできない動作だが、この小さな行動が積み重なれば、何かが変わるのではないか。
夕方、帰りの駅までの道のり。肩はまだ痛い。けれど、昨日のそれとは微妙に違う。痛みの質が変わった気がする。そして頭の中に疑問が残った。
このメモは本当に、誰のものなのか。そして、これが本当に効果があるのなら、なぜ田中さんは周りに教えないのか。明日、思い切って彼女に聞いてみようか。それとも、このメモの秘密をもっと深く追うべきか。
バッグの中で、小さなメモはそっと光を受けていた。
続きはまもなく
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