ノートの余白から

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第1話

第一話 検索できない記憶

Notionで整理した読書ログを開いても、半年前に読んだ本のタイトルしか残っていない。内容なんて、サムネイルすら思い出せない。こんなことってあるだろうか。

エンジニアとしては、情報は構造化されていなければ意味がないと信じてきた。だからこそ、読書記録もスプレッドシートで管理していた。本のタイトル、著者、ISBN、読了日、評価スター、簡潔なレビュー。完璧に見える。検索も早い。

ところがどうしたことか、この完璧さが仇になっているのではないか、という疑問が最近、頭を離れない。

実務的な技術書は別だ。あれは情報源であり、リファレンスだ。必要なときに必要な章を引く。その程度の関係で十分。でも、物語や思想の本、ガイド本すら読んだことを「完了」と記録するだけで、何が残っているのか。

友人に話したら、彼は大学ノートに手書きしているという。それも、感想や引用を好き勝手に、時系列も構造も無視して。デジタルな僕からすると、それはノイズに見えた。でも彼は、その本について妙に詳しい。何年も前の本の内容をスラスラ語る。

手で書くことと、タイプすることは、脳に届く経路が違うらしい。ネットで読んだ。でも、それだけが理由だろうか。

もしかして、僕が求めていたのは「記録」ではなく「痕跡」なのではないか。整理整頓された情報ではなく、読むという行為そのものが体に残すもの。

来週、中古の方眼ノートを買ってみようと思う。ペンも、いいやつ。

続きはまもなく

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