スポーツ推し部屋

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第5話

第5話 動きの「嘘」と「真実」

「完全に正確な軌道だと、人間の目には『硬い』と映ることがあるんです」

スケッチを指差した学生の言葉に、主人公は立ち止まった。画面には、野球のピッチャーが腕を振る瞬間が描かれていた。複数の軌跡が重ねられており、一つは機械的に見え、もう一つはしなやかに見えた。同じ動作なのに、印象が全く異なる。

「あ、これ…」主人公は呟いた。

スポーツの解説では「理想的なフォーム」を説明することが多い。しかし実際の試合映像を見ると、一流選手たちの動きには、教科書には載らない微細な揺らぎがある。その揺らぎが、むしろ自然さを生み出していることに、今さらながら気付かされた。

岡田が続けた。「アニメーターは、どうしても『正確さ』を優先すると、機械的に見えてしまう悩みがあるんです。だからこそ、わざと不規則性を加えたりするんですけど、スポーツ側からはどう見えますか」

主人公は工房の机に身を乗り出した。複数のキャプチャ画像が目に入った。同じシーンなのに、フレームごとに微妙に異なる。アニメーターたちが、一秒間に何枚もの絵を描き分けている痕跡だ。

「正確さと見栄えが対立しない」と、さっき自分が言った言葉が、すでに揺らいでいた。むしろ、本当の対立軸は別のところにあるのかもしれない。

正確さだけを追求すれば、動きは「正しく」なるかもしれない。だが、それが「本当らしく」見えるわけではない。では、スポーツの現場で学んだ自分の知識は、ここでどう活かせばいいのか。

主人公は尋ねた。「実際の選手の動きを見せてもらえませんか。映像で。そしたら、見栄えよさの『嘘』と、正確さの『真実』が、どこでぶつかるのか、一緒に考えてみたいんです」

工房の雰囲気が変わった。4人が頷き、一人がノートパソコンを開き始めた。

続きはまもなく

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