第3話
「見方」という才能
スポーツをやったことがない人にとって、その「リアルさ」はどう映るのだろう。
主人公はコメント欄を読み返しながら、新しい違和感を感じていた。スポーツ経験者からの「これ実際こう動く」という指摘は、確かに説得力がある。しかし同時に、スポーツをやったことがない人からの「この動きって何か美しい」「キャラの心情が動きに出てる」という感想も、別の種類の真実を捉えているように思えた。
翌々日、主人公は新しい投稿を試みることにした。だが、書き始めてすぐに手が止まった。スポーツの知識だけで語っていいのか。むしろ、スポーツ経験者と未経験者の視点の違いこそが、面白いのではないか。
投稿をシェアしてから数時間。あるフォロワーからDMが届いた。その人は、主人公と同じ大学のアニメーション学科の学生だった。
「君の投稿、面白かった。実は自分たちの研究会で、『キャラクター動作とリアリティの関係』という企画をやってるんですよ。スポーツの視点から意見をもらえないですか」
主人公は画面を読み直した。スポーツ専門家としてのアカウントは、いつの間にか別の分野の人間たちとつながる窓口になっていたのだ。
スポーツアニメの紹介という小さなリクエストから始まった探求が、思わぬ場所へ広がりかけていた。主人公は返信を打ち始めた。会ってみる価値はありそうだ。
続きはまもなく
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