第2話
ユーザーの声と自分の迷い
リリースから二週間。アクセス数は伸び悩んでいた。
最初の数日は珍しさで流入があったのだろう。今は日々のアクティブユーザーが安定している。数字だけ見ると、悪くない。だが収益はやはりゼロだ。
転機は、あるユーザーからのメッセージだった。「このツール、うちのチームで毎日使ってます。本当に助かってます」。見知らぬ人からの言葉が、なぜか胸に刺さった。
会社の帰り道、その言葉を反芻していた。自分が作ったものが、誰かの仕事を楽にしている。それは確かなことだ。でも同時に、新しい疑問が生まれた。本当にこれを続けるなら、どうやって持続させるのか。
夜、開発環境の前に座った。料金プランの設計ドキュメントを開く。しかし手が進まない。無料で公開したから今のユーザーがいるのではないか。有料化したら、あのメッセージをくれた人は離れるかもしれない。
SNSを見ると、成功しているインディー開発者たちの最新投稿がある。彼らの話は魅力的だが、細部は不明瞭だ。どの選択が正解だったのか。試行錯誤の過程は、ほとんど見えていない。
深夜一時。疲れた目で天井を見つめた。判断を先送りにすることは、決定そのものだ。そう気づきながらも、何をどう決めるべきか、まだ見えていなかった。
明朝、会社に向かう前に、もう一度ユーザーからのメッセージを読み返す。「続けてくれたら嬉しいです」と、最後に添えられていた言葉。
この言葉の重さと、毎月の費用の現実のあいだで、自分はまだ揺らいでいる。
続きはまもなく
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