ページの向こう側

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第2話

ノートの使い方

最初の数ページは、やはり迷いながら読んだ。線を引くべきか、それとも要点を写すべきか。スマホで写真を撮るのは前回懲りているし、でも何もしないのも落ち着かない。結局、最初の数行だけ、思いついた感想をそのまま書いてみた。

「こういう考え方もあるんだ」「著者の主張、ここまでで矛盾していないか」「自分だったらどうだろう」。

手を動かしているうちに、不思議なことに気づいた。前みたいに「後で読み返すため」という義務感がなくなっていた。代わりに、今この瞬間、本とつながっているような感覚があった。ノートは、その時間を記録する場所になっていた。

三日目。別の箇所では、ついつい評論家のような意見まで書いていた。四日目には、本の内容よりも、その本を読んでいる自分への問いかけが増えていた。ノートは、読む行為そのものの痕跡になっていたんだ。

一週間後、僕は本を読み終えた。前とは違う終わり方だった。乱雑でもない、完璧でもない。でも、ページを閉じるとき、その本の中身が自分の中にちゃんと残っている感覚があった。

ノートを眺めていると、先輩の言葉がようやく腑に落ちた気がした。メモの形式じゃない。読むときの向き合い方が変わると、ノートの使い方も変わるんだ。

次の本を手にしたとき、僕は青いノートを迷わず開いた。同時に、新しい疑問も浮かんでいた。本当は、ノートが僕を変えたのか。それとも、何かを変えようとしたからこそ、ノートが役に立ったのか。

いずれにせよ、ページをめくる手は、前より少しだけ軽くなっていた。

続きはまもなく

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