ページの向こう側

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第一話 消えないペンの跡

図書館の片隅で、僕は何度も同じページを読み返していた。せっかく買った本なのに、読み終わったら内容がきれいに忘れられてしまう。これってもったいなくないだろうか。

試しに前回の本では、重要そうな部分に線を引いてみた。でも後で見返すと、線だらけになってて結局何が大事なのかわからない。別の本ではスマホにメモを取ったけど、その画像もどこに行ったか忘れた。

「また悩んでるんですか」

ゼミの先輩が、僕の机の上の乱雑なノートと本を見てそう言った。僕が読書メモについて相談したんだ。先輩は笑って、鞄からシンプルな青いノートを取り出した。

「これ、使ってみて。特別なものじゃないんだけど、僕はこのノートのおかげで本が変わった気がする」

「え、ノートですか?」

先輩は肩をすくめた。「多分、メモの形式とかテクニックの問題じゃないんだと思う。何のためにメモるのか、その部分がないと、どんな方法でもうまくいかない気がしてさ」

そういって先輩は図書館を去った。

僕は受け取ったノートを眺めた。本当にシンプルなやつだ。特に工夫もない。でも、そのノートを見ていると、不思議とこれから何か始まるような気分になった。

次の日、新しい本を買った。その本を開くとき、僕は先輩のノートを用意した。まだ何をどう書いたらいいかわからない。でも、「何のためにメモるのか」という問いが、頭の片隅に残っていた。

ページをめくる手が、少し丁寧になった気がした。

続きはまもなく

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