第1話
第一話 予想外のフロー
研究室の隅っこで、僕はいつものようにノートPC相手に格闘していた。シミュレーション結果をもっと直感的に理解できるツールがあったら、みんな楽になるんじゃないだろうかって思ったのが発端だ。
週末の昼間、コーヒー片手に機械学習モデルの可視化機能をゴリゴリ実装した。別にお金稼ぎのためじゃなかった。ただ、自分たちの研究をもっと理解しやすくしたい、それだけだった。
GitHubに上げて、Twitterで「こんなの作ってみました」とツイート。正直、数人の反応があれば御の字だと思ってた。
なのに翌朝目覚めたら、リツイート数が4桁。DM殺到。「これ無料なの?」「商用利用できる?」「企業向けプランとかないの?」
え、そんなに需要あるの?
焦った。商用化とかビジネスとか、正直ノーマークだった。研究者の僕にとって、プログラミングはあくまで手段。でもこの反応を見てると、何か別の価値があるのかもって思わされた。
試しにGumroadで有料版を置いてみた。機能を絞った無料版を残して、ちょっと高度な処理ができるプランを月額制で。設定するときの心臓の高鳴り。こんな感覚、研究発表の時もなかったような気がする。
1週間で月3万円の売上。涙が出た。
じゃあこれってなんなんだろう。バイトしてた時の時給計算とは全然違う感覚。寝てても売れる、って表現は大げさだけど、でもなんか異世界の話みたいに聞こえたことが、急に現実になった。
指導教授にはまだ言ってない。研究との両立ができるのか、それともこっちをもっと本気でやるべきなのか。そもそも研究室にいる意味は何なのか。
統計学を学んできた身としては、この現象もデータで理解したかった。でも今の僕は、正規分布の外側に投げ出されている感覚だった。
続きはまもなく
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