第2話
「ちゃんと」という呪い
前回、自炊が続く人と続かない人の差は『完璧さを求める度合い』だという話をしました。では、なぜ人は「ちゃんとした食事」を作ろうとするのか。その背景を考えてみたいと思います。
おそらく、それは学習の結果です。子どもの頃から「栄養バランスが大切」「作り置きは衛生的に危ない」「料理は丁寧にするもの」という情報を浴びてきた。テレビの料理番組も、レシピサイトも、家族のアドバイスも、みんな同じメッセージを発しています。
だから自炊を始めた時点で、多くの人の頭には『正解』がすでにインストールされている状態なんです。その正解に到達できない自分に、無意識にダメ出しをしてしまう。
キャリアの世界でも似たことが起きます。「いい大学に行く」「大手企業に入る」「30代までに管理職に」といった『標準的な成功ルート』が存在する。それが正解だと刷り込まれていると、自分の歩み方が『ちゃんと』に見えなくなってしまう。
興味深いのは、実は続く人たちも『ちゃんとした食事の価値』を知っているということです。知った上で『今日はそれを選ばない』という判断をしている。知識と行動を分離できている。
この分離能力が、実は継続の鍵なのではないか。次の話では、その『分離』がどう身につくのか、もう少し掘り下げてみたいと思います。