第3話
「知っているけど、やらない」という選択肢
前回、続く人は『知識と行動を分離できている』という話をしました。では、その分離能力はどうやって身につくのでしょうか。
キャリアの相談を受けていると、こんなことに気づきます。途中で諦めてしまう人は、往々にして「知識を忠実に実行しようとしている」のです。
例えば、転職を考えている人が「キャリアプランは3年単位で立てるべき」という情報を得ると、それを完璧に実行しようとする。プランに書いたことが達成できないと、自分は「計画性がない人間だ」と評価してしまう。
でも、続く人たちはどうしているか。彼らも同じ情報を知っています。けれど「今の自分には3年単位は難しい、1年でいい」と柔軟に調整する。あるいは「その時々で判断する」と、計画そのものを保留する。知識は知識のままにして、自分の状況に合わせて選り分けている。
自炊で言えば、栄養バランスの大切さを知った上で「今日はカップ麺でいい」と判断できる状態です。知識を否定しているわけではなく、それが『常に優先されるべき価値ではない』と理解している。
この「選別する力」は、どこから生まれるのか。試行錯誤を重ねる中で、少しずつ手に入るものなのか。それとも、ある時点で思考の転換が起きるのか。
続く人たちの話を聞いていると、一つの共通点が見えてきました。それは、彼らが『失敗や妥協を可視化している』ということです。次の話では、その『可視化』の力について考えてみたいと思います。