夜明けまでの距離

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第6話

四日目

朝、目が覚めたのは六時二十分だった。

目覚まし時計が鳴る前だ。田中は天井を見つめたまま、その事実を反芻した。三日連続。体が勝手に起きるようになっている。これは偶然ではなく、習慣が根付きかけているのかもしれない。

鏡の中の自分は、昨日よりもクマが薄れていた。肌の色も少し良い。疲れているはずなのに、体は軽い。昨夜、リビングでスマホを見てしまった後悔は、今朝には霧散していた。

会社では、午後まで眠気が来なかった。鈴木が席の近くを通りかかり、目が合った。同僚は何も言わず、ほんの少し頷いた。その仕草が、田中には大きく感じた。

帰路のバスの中で、田中は窓の外を眺めていた。いつもは疲れ果てて、スマホに目を落とす時間だ。だが今は、景色が目に入る。季節の移ろいに気づく余裕がある。

家に着くと、玄関でスマホを別の部屋に置いた。昨夜の失敗を繰り返さないためだ。リビングで夕食を済ませ、軽く本を開く。十時には寝室に向かった。

ベッドに横になると、田中は天井ではなく、目を閉じることにした。呼吸を整える。心を静める。すぐには眠くならない。だがそれでいい。焦る必要はない。

四日目の夜は、昨日までと違っていた。眠りを求めるのではなく、ただ横たわることの心地よさを感じていた。いつの間にか、意識が遠ざかっていく。

夜明けまでの距離は、確実に縮まっている。だが田中は、それがいつまで続くのか、まだ知らない。五日目、六日目、そしてそれ以降。習慣は脆いものだ。一つの歯車が狂えば、すべてが崩れるかもしれない。

それでも、今この瞬間は、確かに存在していた。

続きはまもなく

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