小さな引っ越し術

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第2話

段ボール箱の中身

翌日の朝、主人公は例の段ボール箱の前に座った。昨夜は意気込んだものの、朝日が入るリビングで改めて見ると、開けるのが躊躇われる。二年間、この箱が「今ここ」に存在し続けた理由を考えると、何か理由があるんじゃないかと思えてくる。

でも引っ越し見積もりの金額が頭をよぎる。この箱ごと運んだら、いくら余分に取られるんだろう。

スマホで動画を見ながら、恐る恐る箱を開けた。ほこりが舞う。雑誌、本、もらった景品のボールペン数本、賞状らしきもの。一つ一つ手に取ると、その時々の自分に出会う感じがする。あ、この雑誌。これ、何か参考にしたくて買ったんだ。でも結局……。本も、同じだ。

景品のボールペンはなぜ取ってあるんだろう。使ってない。使う予定も、特にない。

思い切って、一冊の本を手に取った。カバーは綺麗だ。読んでない。でも、ページをめくってみると、何か心が動く。この本、今の自分が読むべき本かもしれない。箱の中にあったから忘れてたけど、開けてみてよかった。

別の本は、流し読みして判断した。これはもういいや。雑誌も、特に思い入れがない。ボールペンは……五本もいらない。

二時間かけて、箱の中身の半分は別の袋に。その袋をゴミ出しの日のために置く。残った本たちを手に取ると、さっきより軽い。気持ちも、何となく軽くなった気がする。

でも引っ越しの荷物は、まだ部屋中にある。段ボール箱を開けたのは一つだけだ。あと何個あるんだろう。クローゼットにも、どれだけ着ない服があるか。

スマホを手に取った。引っ越し業者に連絡する前に、やることがありそうだ。

続きはまもなく

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