(無題)

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第1話

第一話

{
"title": "続かないあたり",
"synopsis": "三日坊主を繰り返してきた社会人が、ある日「続ける」ことの本質に気付き始める。自炊を通じて見える、生活と自分との関係。",
"chapterTitle": "第一話 冷蔵庫の住人たち",
"chapterBody": "また捨てることになるんだろうな、と思いながら野菜室を眺めた。\n\n月曜日に買った小松菜は、もう萎れ始めている。その隣の人参は薄紫色に変色していた。レシピ本は先月のままダイニングテーブルに積まれていて、付箋でマークした鶏肉のソテーのページは、誰にも見られることなく埃をかぶっている。\n\n自炊を始めよう。そう決めたのは、今年の正月だった。去年も同じことを考えたし、その前の年も。でも今年こそは、と思った。それは毎年のことだ。\n\n三日で飽きる。一週間で忘れる。そのうち、昼食は外食、夜ご飯はコンビニ、という生活に戻る。気付けば冷蔵庫は買い置きの飲料だけになり、野菜室は空になっている。\n\nそれでも今回は違うかもしれない、という淡い期待がある。先週末、スーパーで野菜を買ったのだ。月曜日の朝、念入りに支度をして、その野菜を切った。包丁を握る手つきは、まだ覚えていたものだ。\n\n火曜日も継続した。水曜日は、仕事が遅くなったが、コンビニには寄らなかった。木曜日は、なぜか少し楽しみながら調理していた。\n\nそして今日は金曜日。\n\n冷蔵庫の扉を閉じながら、ふと思った。「続ける」ということは、決心や努力の問題なのではなく、もっと別のところにあるのではないか。続かないのは、意志が弱いからではなく、何かの工夫が足りないだけなのかもしれない。\n\n床に落ちたレシピ本を拾い上げた。"}, もう明日から、って考えるのはやめよう。ただ、明日の夜ご飯だけを考えよう。それだけかもしれない。"
}

続きはまもなく

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