味付けの記憶

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第2話

冷蔵庫の声

萎れた野菜を前に、俺は考えた。ここ数ヶ月、食材を無駄にすることが増えてた気がする。買ったはいいけど、いつもの料理に組み込めず、気づけば傷んでる。効率的なはずの毎日が、実は無駄だらけだったんだ。

にんじん、ピーマン、玉ねぎ。どれも中途半端に残ってる。パスタのトマトソースに入れてもいいけど、それはいつもの選択肢だ。俺の手は冷蔵庫の奥へ伸びた。

コンソメキューブ、塩、黒こしょう。スープか何かにしてみるか。でも作り方なんて知らない。レシピを検索するのは簡単だけど、なぜか今夜はそれをしたくなかった。

鍋に油を敷いて、野菜を切った。いつもより厚めに。それから火をつけて、水を注いだ。塩をひとつまみ。味見をしながら、足りないものを足す。その繰り返し。

味が決まるまでに、20分かかった。完成したスープは、思ったより悪くない。むしろ、自分で作った割には上出来かもしれない。口に運ぶと、懐かしい味がした。

それは何かに似ていた。幼い頃、台所で親が作ってくれたような……いや、違う気もする。でもそれはどうでもいい。大事なのは、今この瞬間、俺が作ったスープが目の前にあるってことだ。

スマホを見ることはなかった。パスタは温め直して、別の器に盛った。スープとパスタ。組み合わせとしては変かもしれない。でも、これは俺が判断した夜の食事だ。

食べ終わったとき、また冷蔵庫が目に入った。明日はどんな組み合わせになるだろう。その問いが、昨日までと違う重さで、胸に落ちてきた。

続きはまもなく

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