第1話
第一話 同じ味
また同じパスタだ。トマトソースを温めながら、俺は思った。
自炊を始めたきっかけなんて忘れた。確か外食が続いて、なんか虚しくなったんだっけ。それで週末に簡単な料理から始めて、いつの間にか毎日になってた。最初は新しいレシピに挑戦するのが楽しくて、失敗もあったけど、それもまた面白かった。
でも今は。パスタ、カレー、丼、味噌汁。ローテーションが固まってる。手順も覚えちゃったから、頭使わずに作れる。効率的といえば効率的だけど、なんか物足りない感じがする。
スマホを見れば、SNSには毎日新しい料理写真が流れてくる。盛り付けもきれいで、めっちゃ手が込んでる。それと比べると、自分の料理って地味だな。意識してなかったけど、いつからか「続ける」ことが目的になってたみたい。
フライパンの上で音を立てる油。煮詰まるトマトソース。同じ音、同じ匂い。この繰り返しって、続ける価値あるんだろうか。
そこまで考えたとき、冷蔵庫の中が見えた。昨日買った野菜が少し萎れてる。もったいない。何か別の使い方があるんじゃないか。そう思いながら、俺はパスタを火から下ろした。
続きはまもなく
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