棚卸しの先にあるもの

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第7話

自分の価値は、他者との関係の中にある

その判断が、実は現場でどれほど重要だったのか。メールを読み進めるにつれ、自分が「ルーチン」だと片付けていた日々の決断が、いくつものプロジェクトの転機になっていたことに気づく。

気づくというより、初めて見つめ直す感覚だった。

上司の言葉を思い出す。「他者の評価のズレを理解することだ」と。それは自分の市場価値を客観視することではなく、自分が持っていると思っていなかった価値を、周囲がどう受け取っていたかを知ることなのだ。

机の引き出しを開けると、棚卸しで書き出したリストがある。「判断力」「対応力」「人間関係スキル」。何度も消したり書き直したりした項目たちだ。昨日までの自分は、それらを「専門的ではない」と低く評価していた。

だが、クライアントのコメント、複数のプロジェクト記録、上司の指摘。どれもが指し示しているのは、その「専門的ではない価値」が、実は最も求められていたということ。

窓の外の朝日は、さらに高くなっている。いつもの朝、いつもの席。何も変わっていないはずなのに、見える景色が異なる。それは外の世界が変わったのではなく、自分の見方が変わったからだ。

スマートフォンを手にしていた。SNSで求人情報を眺めることもあったが、今日はそこに手が伸びていない。代わりに、プロジェクト管理ツールを開く。現在進行中の案件。次のクライアント会議。そこに自分が何を与えることができるか。

停滞していると思っていた時間は、実は自分を作っていたのだ。新しい環境での新しい価値を求めるのではなく、今ここで、もう一度、丁寧に自分の価値を使ってみる。その先に何が見えるのか。

それは棚卸しでは終わらない問いだった。これからの問いだ。

続きはまもなく

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