第5話
連鎖の兆し
一週間が過ぎた。
朝の水。夜のストレッチ。この二つの習慣は、もはや「続けるべき何か」ではなく、日常の風景になっていた。朝目が覚めたときに水を飲むこと。帰宅後、疲れた身体をほぐすこと。それらは、今や選択ではなく、呼吸のように自然に起きていた。
だが変化はそこに留まらなかった。
金曜の夜、会社の飲み会があった。かつてなら、ストレス発散の名目で深酒をし、夜遅くまで居残っていただろう。しかし今夜、自分は二杯で切り上げることにした。理由を聞かれても、はっきりとは答えられなかった。ただ、朝の軽さを手放したくない。夜のストレッチの時間を失いたくない。その感覚だけがあった。
同僚が不思議そうな顔をした。その表情は、三週間前の自分を映していた。
帰宅して、いつものようにストレッチを始めると、気づくことがあった。身体の柔軟性が、確かに変わっている。最初の一週間では、前屈で床に手が届かなかったのに、今は指がつくようになっていた。
小さな変化だが、それは数字として現れていた。
ベッドに入る前、スマホを手に取った。健康診断の結果を改めて見る。医者の言葉が、ここにきてようやく具体的な意味を持ち始めていた。一つの習慣が変わると、ほかも連鎖する。その通りだった。
だが同時に、新しい問いが浮かんでいた。この連鎖は、どこまで続くのか。そして、自分は本当に変わっているのか、それとも何かが欠けているのか。
明日の朝、改めて確認してみようと思った。
続きはまもなく
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