第4話
第4話 小さな選択の積み重ね
夜のストレッチに決めた。
朝の準備を終えた時点で、スマホのメモに「夜のストレッチ開始」と書き込んだ。宣言に近い行為だった。朝の水を飲む習慣が定着した今、次のステップに踏み出すことへの抵抗感は、思っていたほど大きくなかった。
仕事から帰宅したのは夜十時を少し回った時刻だった。疲労感があったが、今日は違った。メモの文字が頭に浮かぶ。
三週間前なら、そのままベッドに倒れ込んでいただろう。だが今、身体の中に小さな火が灯っているのを感じた。朝の水を飲み続けたことで生まれた、微かな手応え。その感覚が、ストレッチという選択肢を自然に実行へと導いていた。
スマホで検索した「五分でできるストレッチ」をリビングで再生した。画面に映る人物の動きに合わせて、身体を伸ばし始める。硬い筋肉が伸びる感覚は、最初は少し心地よくなかった。だが三分ほど経つと、その感覚に変化が起きた。呼吸が深くなり、心が静かになっていくのを感じた。
五分で十分だった。医者の言葉を思い出す。一つの習慣が変わると、ほかも連鎖する。朝の水。夜のストレッチ。まだ二つに過ぎないが、その組み合わせは、確実に何かを変え始めていた。
ベッドに入る前、改めて気づいたことがあった。今、自分は疲れを感じているのに、心は静かだった。かつてならば、疲労と心の疲弊が一体化していたはずなのに。
朝から夜まで、小さな行動の積み重ね。その中に何があるのか、まだ言葉にはできない。だが続けようと思った。次は何を加えるのか。それはまた明日、朝日の中で考えればいい。
続きはまもなく
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