収支の向こう側へ

4/4

第4話

選ぶことで見えるもの

その気づきは、同時に不安ももたらした。自分がどう付き合いたいのかがはっきりしていない。だからアプリも決められない。そして家計管理も始められない。

悪循環のようにも思えた。けれど、私は立ち止まることにした。

スマートフォンを置いて、机の引き出しからあのノートを取り出した。何も記入されていない白いページ。ここなら、正解を求める必要はない。

ペンを握ったまま、改めて考えた。完璧さを求めるのではなく、試しながら理解を深めるという方法もあるのではないか。昨日、今日と試してきたアプリたちは、実は失敗ではなく、自分を知るための過程だったのかもしれない。

「細かく分類したい人」もいれば「ざっくり把握したい人」もいる。その違いを知ることで、自分がどちらに近いのかが見えてくる。そして見えてくると、次に試すアプリも、つけ方も、変わってくるはずだ。

ノートに一行書いた。「とりあえず、一番シンプルなアプリで一週間続けてみる。その間に『なぜ使ったのか』を思い出す。」

この方法が正解かどうかは、まだわからない。けれど、「わからないまま始める」ことの方が、今の自分には大切なような気がした。

スマートフォンを手に取り、もう一度アプリストアを開いた。今度は、ずっと迷っていたシンプルなアプリをダウンロードする決断ができていた。

続きはまもなく

目次

コメント