第3話
アプリの海を前に
翌日、私はスマートフォンを手に、アプリストアの検索欄に「家計簿」と入力していた。
画面に表示されたのは、数えきれないほどのアプリ。シンプルなデザインのもの、グラフが充実しているもの、AIが自動分類するもの、投資機能がついているもの。どれもが「あなたにぴったり」という謳い文句を掲げている。
一つ目のアプリをダウンロードしてみた。入力画面を開くと、カテゴリが細かく分かれていて驚いた。食費だけで「外食」「中食」「自炊」に分かれている。ここまで細かくする必要があるのだろうか。二つ目を試してみると、今度は逆にシンプルすぎて、「その他」が大きな括りになっている。
三つ目、四つ目と試すうちに、奇妙な感覚に襲われた。どのアプリも、私の生活をキャッチする「正解の形」を提示しているように見える。でも、それらは本当に私の生活なのだろうか。昨日のノートで書いた問いが、再び浮かんでくる。
私が本当に知りたいのは、何なのか。
細かいカテゴリで分類することで、支出の全体像が見える人もいるかもしれない。でも、私はどうだろう。むしろ、ざっくりとした数字を眺めたい気もする。そして、その数字の奥にある「なぜ使ったのか」という物語が気になる。
アプリを何度も切り替えながら、私は思い当たった。完璧なアプリを探しているのではなく、自分がどのように家計と付き合いたいのかが、まだはっきりしていないのだ。
続きはまもなく
目次