第3話
第3話 投資の正体
田中の言葉が、ずっと頭に残ってた。
「その後が変わる」——それは何を意味するのか。
翌日、自分がPRを出すと、今度は逆の立場を経験した。レビュアーとして、後輩のコードを見る機会が回ってきたのだ。指示された先輩は、実は去年の新入社員だった。
彼のコードは、きれいだった。変数名は明確。構造に無駄がない。でも、何か物足りなさを感じた。安全だが、冒険がない。そういう印象。
「これ、なぜこう書いたんですか?」と聞いてみた。
すると、彼は迷わず答えた。「パフォーマンスと保守性を天秤にかけた場合、この部分は三ヶ月後の仕様変更を見越した書き方にしました。それと、チーム標準の例外パターンですが、このケースなら許容できると判断しました。」
淀みなく、複数の視点から。自分のコードを客観視した上での選択。
彼はあの「時間」の中で、何をしていたのか。単に修正を繰り返していたのではなく。考える骨組みを、手渡されてたんだ。
会議室に戻ると、田中がいた。「気づきました?」と、穏やかに。
「あの三日間は、時間じゃなくて、投資だったんですね。」
田中は頷いた。「そう。チームの成長への。そして今、あなたもその恩恵を受けてる。」
モニターの隅で、新しく配属された誰かが、初めてのPRを出そうとしていた。
続きはまもなく
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