収支と心のバランスシート

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第5話

第5話 給料日までの距離

三日目の朝、スマホのアラームが鳴る前に目が覚めた。

家計簿アプリを開くのが習慣になっていた。昨日の支出を確認して、今日の予算の残りを見る。この三日間で、頭の中のお金の流れが、ようやく輪郭を持ち始めていた。

給料日までまだ十日ある。

いつもなら、この時点で気が遠くなる。残高と残りの日数を見比べて、どうやって過ごそうかと暗くなる。でも今は違った。過去三日間の記録があるから、計算ができる。

ランチタイムに、同僚と昼食の話になった。いつもの定食屋か、新しくできたカフェか。以前の自分なら、給料日前だからと定食屋を選びつつ、心のどこかで不満を感じていたはずだ。今日は違った。

「定食屋で大丈夫。実は昨日もあそこで食べたから、メニューも分かるし」

同僚は何気ない返事をしたが、自分の心の中では何かが変わっていた。選択に理由がある。それが、ただの節約ではなく、納得になっていた。

夕方、給与明細を眺めた。月末まであと十日。三日で気づいたパターンを、あと十日繰り返す。完璧ではなくても、判断を重ねていく。

面白いのは、不安が消えていないことだ。でも、その不安が変わってきた。「足りるのか」という恐怖から、「どうやって足らせるか」という実感へ。

まだ答えが出ていない。むしろ、ここからが本当なのかもしれない。ツールを手に入れたことより、毎日を見つめ続けることが、自分を変えるんだと。

あと十日。その先も。

続きはまもなく

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