第2話
詰めるという行為が教えてくれたこと
段ボール箱との格闘は思ったより奥深かった。最初は無理やり詰め込もうとしていたけれど、何度か失敗するうちに気づいたことがある。重いものを下に、軽いものを上に。長いものと短いものを組み合わせる。同じ種類のものはまとめて、隙間には小物を。これらのルールに従うと、箱はするすると満杯になっていく。
物理学的には当たり前のことなのかもしれない。でも実際にやってみると、その原理は生活にも応用できるような気がした。例えば、毎日使うものと季節ものを分けるとか、視線の高さに頻繁に使う道具を配置するとか。単に空間を埋めるのではなく、流れを意識する。
新居の間取り図を床に広げて、家具を配置するシミュレーションを始めた。今の部屋ではできなかった工夫も、スペースが限られているからこそ、逆に明確に浮かぶ。玄関から見たときの視線、朝日が入る窓の向き、毎晩使う場所と週に一度の場所。
ふと気づくと、捨てるべきか迷っていた荷物たちへの向き合い方も変わっていた。無理に詰め込もうとするのではなく、本当に新しい生活で使うのかを冷静に問い直せるようになった。物を減らすのではなく、選ぶという感覚。
あと一週間で引っ越しの日を迎える。まだ完全には片付いていないけれど、今は焦っていない。効率よく詰めるコツを知ったおかげで、むしろ時間的な余裕も感じている。もう一度、新居の間取りを眺めてみよう。この小さな空間で、どんな生活を始められるか。その構想はまだ途中だ。
続きはまもなく
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