第5話
選択の重さ
『選』ボタンを長く見つめた。
指が触れる寸前、俺は立ち止まる。ゲーム内での進捗が現実に反映される。その仕組みが変わったということは、これまで以上に慎重になるべきだということじゃないか。
画面に戻るボタンはない。ゲーム内の選択肢は三つ。
一つ目は、ゲーム内で手に入れたアイテムを「現実化する」というもの。二つ目は、そのアイテムをゲーム内に留めておく。三つ目は、選択を延期する。
アイテムの説明を読み直す。『困難を乗り越えるための道具』とだけ書かれていた。具体的じゃない。つまり、現実化したときに何が起きるか、俺には予測できないということだ。
机の上の積み重なったゲーム。その中の一本を手に取る。『unLOCK』を始める前は、これらを遊ぶことすら罪悪感があった。でも今は違う。ゲームが現実と繋がっているなら、それは単なる娯楽じゃない。
それは責任だ。
スマホを握り直す。親指は『選』ボタンの上で止まったままだ。
その時、スマホが震える。新しいメッセージだ。
『警告:あなたのプレイ記録が他のプレイヤーと共鳴しています。まもなく、ゲーム世界の一部が統合されます』
他のプレイヤー?俺以外にも、このアプリを使っている人間がいるのか。
それとも、ずっと前からいたのか。
画面の隅に、プレイヤー情報というタブが新たに追加されていた。タップすると、顔なしのアイコンと一つのメッセージが表示される。
『同じゲームの前に立つあなたへ』
続きはまもなく
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